鳩山由紀夫首相の指示により、厚労省に統合医療プロジェクトチームが発足しました。様々な伝統医学や民間療法といった保険対象外の治療を西洋医学と統合させて治療を行い、医療費の抑制につなげたいとのことです。
明治維新以降、西洋医学による治療が主流の中、最近では患者主導の様々な民間療法があり、普及もしているので、実際に保険適用になり運用されるまでにはかなりの時間がかかるでしょうが、少しは期待したいと思います。
ただ残念なのは、病気という結果に対しての様々な治療方法を検討するということであって、病気を予防するという発想が伝わってこない点です。
伝統医学で日本人に身近なのは東洋医学でしょう。東洋医学はそもそも病気予防に重点をおき、薬食同源(日本では医食同源といわれる)という言葉が示すとおり、薬も食物も源は同じで普段のバランス良い食事が健康を保つのです。漢方薬にしても普段から食する植物が数多く使われています。
東洋医学では病気の原因を「気」「血」「水」の3つに分けます。「気」は元気の気が示すように、生命エネルギーのことです。その気が病めば「病気」になります。「血」は血液の流れを示し、汚れや滞りが疾病の原因になります。「水」は血液以外の体液を示し、滞ると冷えを呼び込みやはり病気の原因となります。
西洋医学は体をパーツに分けて考えますが、東洋医学は普段の食生活と体全体のバランスを見ていきます。全く違う考え方の医療が統合されていくのはやはり簡単にいくとは思えません。
医療費の抑制ありきだとなかなか前に進まず、医療に地域格差が出来すぎ、本当に急を要する医療が手薄になってしまう弊害も出てきています。医療費は順調に右肩上がりですが、世界各国と比べて決して高いわけではありません。しかし年間に患者1人が受診する回数は日本がダントツの1位となっています。保険制度が充実しており、受診のハードルが低いからでしょう。
国民の持つ少々のことでもすぐ病院へという意識を変え、病気にならない為の薬食同源(正しい食生活)に意識が向かうよう、政府が主導すれば医療費は自然に減り、本当に必要としている患者が手厚い医療を受けられるようになり、首相のいう「国民の命を守る」国になれると思うのですが。