9月11日、当店で昭和44年に取扱以来、超ロングセラーの純米酢「富士」ブランドでおなじみ、京都宮津の飯尾醸造さんに行ってきました。
京都駅より、電車に揺られること2時間あまり、日本三景で有名な天橋立のある宮津に到着。
まず見学に向かったのは、宮津湾を望む高原にある棚田です。富士酢の原料となる米は、全てこの棚田で農薬を一切使わずに栽培されています。昭和39年に先代がDDT等の危険な農薬が田んぼに撒かれるのを見て、「こんな米で酢を作っていたら、体がおかしくなる」との思いから、風や生活排水で汚染されない、地元の高原で棚田を営む農家と交渉を重ねて、無農薬の原料米を確保することに成功しました。その無農薬の新米のみを使い、昭和44年に日本一の酢を作りたいとの思いから純米酢「富士」は誕生しました。
この日本一の富士酢を最初に扱った自然食品店が当店でした。
現当主の飯尾毅さんは「大手が速醸法で大量生産が主流となるなか、小さな蔵では生き残りは無理と、当初は継ぐ気はなかった。しかし先代のこの取り組みのおかげで、日本一の酢を作っていこうと決心した。」と、当時のお話が印象的でした。
今では棚田の契約農家が高齢化でわずか20軒程となり、このままでは棚田の米作りに危機を感じ、地元の里山を守るため7年前より自社で棚田を管理し、米を栽培しています。機械が入れない棚田ですから、ほぼ全てが手作業なのです。この取り組みには感動!すごいとしか言いようがありません。原料米の栽培から、精米、麹、酒作り、そして米酢の仕込み、静置発酵、熟成と、原料にはじまり、全ての製造工程を自社で行い、完成までに1年半(一般品は1カ月半)をかけ究極の米酢が出来上がります。
手間をかけ、米をたっぷり使った(JAS規格基準量の5倍)米酢はツンとする中にも、出みと深いコクがあります。