2011年9月30日

「複合汚染」有吉佐和子著と無薬剤の木製食器

1970年代中ごろに朝日新聞紙上にて連載された小説「複合汚染」を真剣に読み返しました。

この小説で有機農業をめざした方、自然食を取り入れた方や、自然食品店をはじめた方も多いと聞きます。

今から30年以上も前にこれだけの問題提起をした書が今も尚、売れていることがすごい。着色料、保存料、化学肥料、農薬、除草剤、排ガス等々の複合汚染!現代はそれに放射能が加わってしまいました。有吉さんが今ご存命だったらどのような文を書くだろうと・・・。

さて、早稲田自然食品センターでおすすめしている無薬剤食器「トマト畑」の創業者である田中栄二さんは、「複合汚染」に気付いた一人だったのでしょう。地域をあげて無薬剤に取り組もうと呼びかけをした事が、地域の組合からは「告発でもする気か」と伝統工芸職人としての地位を奪われ、それでも子供の為に、子供を置き去りにしてまで、中国の福建省に移住し、無薬剤食器作りに生涯をかけました。

その意思を継いだ秀樹さんとの対談は、今まで知らなかった世界であり、驚愕と感動の中、5時間をゆうに超えました。

父親の想いを知ったのが約3年前、それまでは誰もが知る大手企業のエリートだった秀樹さんは、出張がてら寄り道した父親の職場で、初めてその取り組みを知り、その地位を捨ててまで日本での普及活動をライフワークとされました。

秀樹さんは日本での普及、販売をするにあたり200社以上の国内木製食器メーカーを訪問し、その現状を目の当たりにしています。

現在でも農薬による防虫、防カビ、漂白剤によるシミ抜き、そして漆製品は国内産ならば一切の検査なしに流通しているという現実があり、検査の基準自体も甘いこと、漆塗料やウレタン塗料そのものに問題があること、そしてそれはまず報道されることはないことも知りました。

それがどれだけ健康の妨げになっているかどうか?検証されることもないでしょう。

なぜなら伝統工芸の世界では暗黙の了解であり、複合汚染の一つだからなのです。

勿論、全ての木製食器が薬剤まみれというわけではありませんが、とても誌面では書けない現実が多々あることも事実なのです。