海外では和食がヘルシーで美味しい、と日本料理のお店が大人気だそうです。
ユネスコの世界文化遺産に登録されたことでさらに人気に火がつくことでしょう。
以前からいわれていましたが、本来の和食とはかけ離れた
奇抜な巻き寿し等の「創作和食」も多いようで関係者は頭を悩ませていたようです。
とはいえ日本初、創作イタリアンの「ナポリタン」は本場にはない料理ですから、
何ともいえません。
一汁三菜を基本とするのが「和食文化」。
一部では高級料亭や旅館で出てくるような和食懐石が登録されているかのような
報道もあるようですが、伝統的に日々食されてきた和食を料理や調理法だけでなく、
食事という空間や時間に「いただきます」や「ごちそうさま」といった挨拶や
四季折々の旬、自然の産物や動植物の命をいただくことへの感謝、
生産者や調理する人への感謝、お節料理の由来や意味等を、登録に際し
プレゼンしたことの報道をあまり見かけないのが残念です。
旨味と香り!本物の出汁と調味料が健康的な和食文化の根幹
和食家庭料理では地域で収穫できる食材を旬の時期に食すのはもちろんですが、
食材を生かす為に出汁と調味料は欠かせないわけです。
昆布と鰹節の出汁は和食の原点であり、1+1が何倍にも何重にも膨らみます。
しかし、本当の旨味と香りを醸し出す昆布や鰹節の消費量がずっと右肩下がり…
残念でなりません。
簡単便利な添加物タップリの出汁の素や旨味調味料が右肩上がりでは、
和食文化を世界に誇るのも恥ずかしいというのが現状ではないでしょうか。
鰹節も含め、和食に欠かせない調味料である味噌や醤油・みりん・酒・酢は
発酵食品であり、様々な麹菌が日本の伝統的食文化の根幹を成しています。
日本にはそれらの発酵食品を頑なに伝統的製法で作り続け、
経済効率を優先しない蔵や工房、それらを支える職人さんがまだまだ頑張っています。
日本酒や焼酎・ワイン等はこだわりによってブランド化が進み、
良いものは高いという認識が根付いています。
一方、同じ発酵食品にもかかわらず、味噌や醤油はチラシの大安売りの対象となり、
みりんや酢等々の調味料も製造方法による価格差がわかりにくく、
速醸の安価な物が幅を利かせているのが現状です。
私達は伝統的な和食を健康的な側面からも応援し、伝統製法を守る蔵や工房、
そして職人さん達をこれからもずっと応援していきたいと思っています。