2015年7月31日

食べ続けるだけで病気になる?!◯◯◯◯不足が引き起こす「新型栄養失調」




「人は食事の内容で健康にも不健康にもなる」と、厚生労働省は国民に対し
食事の重要性を啓発しています。

そこで2015年の4月から、同省が認めた摂取基準を満たせば、
市販弁当や宅配弁当、レストランのメニュー等の「主食、主菜、副菜」それぞれに
「健康な食事マーク」を貼ることができるようになるはずでした。

しかし、このマークは施行直前に延期となってしまいました。
2015年7月末現在、再開の報道は入っていません。

米の生産に影響が出る、という批判が農林水産関係者など
各所から挙がったことが延期の理由とされていますが
このマークには、それ以外にも「重大な問題」がありました。

その 「重大な問題」について、厚生労働省に対し警鐘を鳴らし続けているのが
「食品と暮らしの安全」編集長・小若順一氏です。

「健康ファミリー」本誌では、春号と夏号の2号にわたって
この問題を巻頭特集として取り上げました。

ここでは、特集の内容を一部抜粋・再編集してお届けします。

国のお墨付きでも半数の人が病気になる!?

(本誌編集長 寺島秀雄)※以下、「寺島」
小若氏が編集長を務める「食品と暮らしの安全」は、日本で初めてで唯一、
公的機関の食堂メニューから、大手コンビニ弁当や持ち帰り弁当などの
ミネラル含有量を測定し公表されています。

ミネラルが不足しているという実態は、国民の健康を守る上で由々しき問題ですね。


(「食品と暮らしの安全」編集長 小若順一)※以下「小若氏」
この問題の重大さを理解されている人は、ほんの一握りです。
国民の健康の番人であるはずの厚労省さえ、国民の多くが口にしている
市販の弁当やファミリーレストランなどの料理を食べていると
半数の人が病気になるほどミネラルが不足していることを知りながら
それを「健康な食事」だと推奨するのですから。

「健康な食事マーク」の重大な落とし穴は、ミネラルに目がいっていないことです。

ミネラルというのは、身体の熱を作り出したり、神経伝達物質や
ホルモンを作るのに必要な元素で、人が生きるために必須の栄養素です。
にもかかわらず、マーク貼付けの基準にはミネラルの有無がまったく触れられていません。

一見栄養バランスが整っていそうな弁当でも…


(寺島)
貴誌が公表している、コンビニ大手3社の幕の内弁当の平均ミネラル含有量を
測定したグラフがこちらです。

「推奨量」は国が推奨する摂取量、「推定平均必要量」は、これを下回り続けると
「健康障害を生じる」と言われている量で、半数が病気になると言われている
基準だそうですが、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅といった
主要5ミネラルがまったく足りません。

参考資料:小若順一・国光美佳著『食事でかかる新型栄養失調』三五館(単位はミリグラム)


これほどミネラル不足のものを食べているということを、消費者の
何パーセントが知っているでしょうか。



(小若氏)
ほとんどの人が知らないと思います。
厚労省の役人でさえ、ミネラルに対して意識がないですからね。


(寺島)
こうしたミネラル不足の弁当や定食でも、外見上整っていれば
中身に関係なく「健康な食事マーク」を貼ることができるはずだったんですね。


(小若氏)
現代栄養学の考えは、1日もしくは1週間くらいのスパンで栄養バランスが取れればよい
という考え方です。それは当然なのですが
上記のグラフを見ていただくとわかるように、3食コンビニ弁当を食べても
健康を維持するのに必要な「推奨量」に届きません。
それどころか、食べた人の半数が病気になる量「推定平均必要量」にも達していないので
これを1ヶ月ほど食べ続けていたらいずれ、何らかの生活習慣病か
精神疾患を発症することになります。


 日常食にミネラルを補うには

 (寺島)
これまでは若者が中心だったコンビニに、弁当を買いに入る高齢者の姿が増えました。
高齢者の食携帯はますます、既成品の弁当を利用する方向に進むのでは。


(小若氏)
ミネラル不足の宅配弁当を利用する高齢者も増えていますし、
既にその流れに入っています。


(寺島)
しかし、弁当に入っているキャベツやニンジンなどのカット野菜類は、
刻んでから何回も次亜塩素酸の入った水で洗浄しているので
ミネラルやビタミンの多くは抜け出し、実際の栄養成分は
食物繊維以外スカスカです。これでも「健康な食事」だと厚労省は言うのでしょうか。


(小若氏)
販売側としては食中毒が一番怖いですし、保健所からも指導されるので
洗浄や殺菌は徹底してやります。
高齢者だけでなく、成長期から働き盛りの人たちだって、市販の弁当を
利用する人は少なくありません。健康で長生きしたかったら、
1食で十分に推奨量を超えるほどのミネラルが摂れる食事をすることでしょうね。


スタッフ作成による、無農薬野菜と無添加食材・調味料を使った食事(玄米小豆ご飯、大根とわかめの味噌汁、丸干しいわし、厚揚げと野菜の煮物、ほうれん草のおひたし、海苔、人参と山芋のぬか漬け)

(寺島)
小若さんの関係する「食品と暮らしの安全基金」が開発した
「無添加白だし」は、多数のミネラルが水に溶けた状態で入っているそうですが
そうした食品を、例えばコンビニの弁当など従来の食事に加えたら
現在よりは「まし」な食事になるのでは。


(小若氏)
なります。現に、「無添加白だし」を従来の食生活にプラスして
心身の不調を改善したというケースはたくさんあります。


(寺島)
具体的にはどのような。


(小若氏)
4歳(当時)のA君は、保育園に行くのが嫌で、2歳のときから
毎朝、虐待されているのではないかと近所の人が心配するほど大泣きし
オムツも外せていませんでした。
食の細いA君は、朝食はバウムクーヘンやカステラ、コーンフレークを少量、
昼食は保育園の給食を時間をかけてやっと食べ、夕食はラーメン、
チャーハンが中心で、食べられる野菜はブロッコリーとキュウリだけでした。
こうした食生活に、朝夕で小さじ1杯量のだしを加えたら、3日目にして
朝の大泣きがぴたっと止み、アスペルガーを疑われた行動も次第に落ち着き、
摂取開始1か月後には食べられる野菜の種類が増えるなど、食の幅も広がりました。
苦手だった仲間とのコミュニケーションも、3〜4ヶ月後にはお泊り保育に
参加できるまでに改善しました。

成人のケースでは、高校生のときに躁うつ病を発症し、20代から
薬を飲み続けてきたという40代の男性。
蕎麦粉8割の信州そばを、だしを入れたつゆと海苔で35日間
毎日食べ続けたところ、この間に調子が悪かった日は3日間だけでした。
25年間、薬を飲み続けてきたので、治るまでに5年かかりましたが、
今は薬を飲まずに調子よく暮らしています。
この人は、奥さんのサポートがよかったのでしょうが。


(寺島)
やはり「人は食べものが変化した姿」なのですね。


(小若氏)
春先から梅雨にかけて体調不良、特に気持ちの落ち込みとか不安、めまいや
頭痛等々、自律神経のアンバランスによる不定愁訴に悩まされる人も少なくないようです。
そんな時、ミネラルをバランスよく、しかも多く含む食品を食べてみることです。
それで心身の調子が良くなれば、ミネラル不足が原因のひとつと考えられます。


(寺島)
自衛の第一歩はミネラル補給からですね。


ミネラルの重要性を実証するケースは、枚挙に暇がないようなので
小若さんと国光美佳さんの共著『食事でかかる新型栄養失調』(三五館)
是非お読みいただきたいと思います。



また2015年4月には、文理書院が主催する「食と健康と暮らし」をテーマにした
ワークショップ「健康ファミリー」教室でミニ講演会を開催しました。
日常的によく口にするあの食品たちのミネラル含有量の例を
小若さんにたっぷりご紹介いただきましたので、是非こちらも御覧ください。