2009年3月1日

「味のない野菜」が求められている?

「最近の野菜は味気が無くなったけど、ここの野菜は昔の味がする」と、うれしいお言葉をよくいただきます。農薬、肥料の違いなのか?種なのか?

先日、固定種の種を多く取扱う種苗屋さんの話を聞きました。

昔の青果市場での買い手は、八百屋さんやスーパー等、消費者にそのまま青果を届ける業者が多かったが、現代は外食産業や加工食品業者が多いといいます。後者は青果物が流通に適すよう均一の規格を求め、均一の味付け加工が出来るよう「味のない野菜」を求めています。

トマトや大根、キャベツ等均一の箱に決まった数が入るよう、異なる種を掛け合わせ、「種」から設計されています。これらは「一代雑種(F1)」といい一般的な青果物は殆どがこのような種を使用しています。均一に育つので栽培計画が立てやすく、収量も多く、安定する。しかしこれらの農産物から採れる二代目の種はメンデルの法則により収量や規格が安定しなくなり、生産者はまた新しく種を買わなくてはなりません。この技術は世界的企業が多くの特許を持っており、まさに「種を制する者は、世界を制す」の状況になっています。色や形が綺麗で、色々な野菜を年中、手に入れることが出来るようになった反面、固くて、味気のない野菜が多くなってしまいました。

このような種苗業界の大きな流れの中でも、美味しい、野菜本来の味を持つ固定種を守り、農薬も化学肥料も必要としない農産物を栽培しようとする生産者が少しずつ増えてきていることはありがたいことです。自然農法といっても決して放任農法ではなく、手間隙をかけ、ビジネスとしてみれば採算があわない。収穫量も限られ、一般品に比べれば圧倒的に高いそのような農産物ですが、自然食品店としましては、そのような農産物こそ大事に取り扱っていきたいと思います。