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お口も「菌活」はじめよう!歯周病予防に歯磨き+αのススメ




人生100年時代と言われる昨今、できるだけ自分の歯で物を噛みつづけられるようにすることは、健康寿命を延ばすために重要です。

歯を失う原因の多くは「歯周病」

最近では歯周病菌が全身疾患とも密接なつながりがあることが示唆されています。

6月の健康ファミリー教室では「お口の健康」をテーマにしたミニ講演会を開催。
講師の藤川さん(フェアユング株式会社)にお話を伺いました。

#本記事は、「食と健康と暮らし」に関する様々なテーマを、その分野の専門家を交えて考える店舗イベント「健康ファミリー教室」6月開催「お口は健康の源!」の内容を一部再編集したものです。




・言えますか?歯周病菌の名前
・歯周病と全身疾患の関係
・歯周病を予防する方法



言えますか?歯周病菌の名前



虫歯菌の名前と聞かれて「ミュータンス菌」だと答えられる方は多いと思いますが、歯周病菌の名前をパッと思いつく方は少ないのではないでしょうか。

「代表的な歯周病菌の一つにジンジバリス菌というのがあります。嫌気性という、空気を嫌う性質を持つ細菌で、歯と歯茎の間から呼吸の空気を避けるように深く奥の方まで潜り込んでしまうのがやっかいなところ。歯肉を溶かし、悪臭を放ちます」(藤川さん)。

中期まで自覚症状がないという歯周病。気づいたときにはかなり進行してしまっていることが多いのだそう。

「末期の歯周病は、人生の中でもっとも痛いと言われています」と藤川さん。

想像するのも恐ろしいですね…。


歯周病と全身疾患の関係


歯周病になると、物ががうまく噛めなくなります。
そこから顔の歪みや肩のこり、腰痛などを引き起こします。
また噛み切らずに飲み込むことで消化不良を起こしたり、無意識に柔らかい物ばかりを食べるようになることで栄養が偏ってしまうのだそう。

前述のジンジバリス菌は、血管を破壊して体の奥へ奥へと逃げていきます。穴が空いた血管から細菌が侵入し、体内を巡ることで全身疾患へとつながってしまうのだとか。

「有名なのは糖尿病です。歯周病の人は糖尿病になりやすく、また糖尿病の人は歯周病になりやすいと言われています。そのためどちらかを徹底的に治療することが肝心です」。

大学病院のなかには、糖尿病で入院する患者に歯科医師をつけるところも出てきたそうです。




「ほかにも胃潰瘍や早産、心臓病、誤嚥性肺炎も、歯周病と大きな関わりがあることがわかっています。また近年ではアルツハイマー病との関係も注目されています」。

あるテレビ番組では「歯磨きをしなかっただけで、救急車で運ばれるとは思わなかった」とコメントする心臓病患者のコメントが放映されたそうです。

これを聞いてしまうと、たかが歯周病…と
ぜったいに侮れないですね。


歯周病を予防する方法



日本では、成人の8割が歯周病だと言われています。
歯周病になってしまうと、その治療は容易ではありません。
そのためには今日からでも「歯周病予防」の意識を持った生活を始める必要があります。

「まずはなんといっても、歯磨きです。歯医者さんの間で有名なフレーズに『虫歯を予防したければ表面を磨きなさい、歯周病を予防したかったら歯と歯茎の隙間を磨きなさい』というのがあります。歯垢は柔らかいので硬い歯ブラシを使う必要はありません。電動歯ブラシもいいと思います。丁寧なブラッシングを心がけてください」。

「ご飯をよく噛みましょう。噛む回数は戦前と比べて約半分、江戸時代と比べると約1/4しか噛んでいないと言われています。噛むことによって抗菌成分のある唾液がたくさん出ますので、口腔内の免疫力がアップします。ひとくち30回は噛むようにしたいですね。」

「そして、+αの対策として『口腔フローラを整える』ことをおすすめします。口腔内では100億個程度しか細菌が棲むことができないため、良い菌と悪い菌がイス取りゲームをしている状態だと思って下さい。殺菌成分の強いうがい薬などを多用すると、口腔内の善玉菌も殺してしまうので注意が必要です。良い菌の中でも『K12菌』という、母乳にも含まれる善玉菌は、悪い菌を退治して良い菌が育ちやすい環境を作ってくれる唯一の菌です」。

腸やお口の中の良い菌を育てることを『プロバイオティクス』といいます。
ちなみに乳酸菌も善玉菌で、たくさんいるにこしたことはないのですが、悪玉菌の増殖を阻止する力を持っているのはK12菌だけなんだとか。

口腔内の免疫力を高めることは、風邪やインフルエンザの予防にもつながります。
腸活と併せて、今日からお口の菌活も是非スタートしてみてくださいね。