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TPPと遺伝子組み換え


ここ最近やや鳴りを潜めていたTPP(環太平洋連携協定)参加方針問題」がクローズアップされてきそうです。

TPPに参加するとどうなるか?関税撤廃により肉や米が安く買えるようになり消費者にとってメリットが大きいよ、輸出産業も海外に進出しやすくなり日本経済も良くなるよ、出遅れるわけにはいかないよ、と参加ありきでわかりやすい分野のメリットばかりが報道されてきました。日本で決めた国民の安全、健康、福祉、環境等の基準で連携先国が不利益を被ったと訴えることが出来るISD条項等のデメリットはあまり報道されません。

日本の食を支える農業分野のデメリットは多大であると懸念しているのが「遺伝子組み換え(以下GM)」作物栽培の解禁と表示撤廃圧力にあります。安全優位の研究の中、先日フランスの研究機関がGMコーンだけを与え続けたラットが腫瘍や多臓器損傷を引き起こすと警告し物議を醸していますが、大きく報道されることはないでしょう。

2008年にフランスで公開され、欧州各国のGM政策にも多大な影響を与えたドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べ物」が日本各地で上映されており、観に行ってきました。GM作物は安全で栽培コストも安く、収量が増え食糧危機を救い、小規模農家にもメリットが大きいと宣伝されますが、巨大多国籍企業による世界の食を支配することを目的に推進されるGM技術だということが実にわかりやすく解説されています。ある除草剤に耐性を持つGM種子とその除草剤を製造する会社が一緒ということにも疑問を投げかけています。GM生物が野生生物に影響を与えないよう管理するカルタヘナ法があるにせよ、在来種との自然交配を通じて予期せぬ生態系の大きな変化のリスクは懸念せざるを得ません。自家採種で自然農をしていても、知らないうちにGM作物が畑に育っていた、ということも起こりえます。

今まさに日本の食事情が大きく変わってしまう瀬戸際、TPPの参加により日本ならではの農業や伝統産業に与える影響は計り知れません。